社長インタビュー

個店経営で地域のお客様ニーズに応える

東急ストアは、首都圏西南部を走る東急沿線を中心に展開するスーパーマーケットであり、東急グループの一員です。東急グループは、渋谷や東急多摩田園都市開発などに見られるように「街づくり」に重点をおいて成長してきました。そして現在、「東急沿線を日本一住みたい沿線」にすることを目指しています。

その実現のために、鉄道やバスなどの「交通事業」、住宅開発をはじめとした「不動産事業」、そして、東急ストアや東急百貨店などが担う「生活サービス事業」が、それぞれの事業分野を深耕し、互いに連携しています。それは鉄道網を整え、住まいを建てるといった単純な話ではありません。そこに暮らす人々の日々の生活を具体的にイメージし、支えるために何が必要なのか、彩りを添えるために何をすべきなのか知恵を絞らなければなりません。だからこそ、生活サービス事業を担う東急ストアとしては、「食」という日々の暮らしになくてはならないものを提供する立場から、私たちの使命を考えていく必要があるのだと考えます。

スーパーマーケットは、「日常」です。野菜、魚、お肉など、夕食に欠かせない新鮮な素材を買うため自然に足が向く存在、「ちょっと時間がないからお惣菜でも買って帰ろう」と思ったとき最初に思い浮かぶ存在であることが大切です。日々の食事を守る地域のライフライン――それがスーパーマーケットの原点であり、使命なのだと考えます。

人口減少によって、今後は消費者が減っていきます。小売業界でも競争は激化し、企業の淘汰も進んでいくでしょう。

百貨店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなど業態の境目は曖昧になり、差別化が難しくなっていくことが予想されます。そのような時代だからこそ、スーパーマーケットが、なぜ誕生したのか、どうして必要とされてきたのかを見つめ直し、原点や使命に立ち返るべきなのです。そして、「日常」であり続けるために、これから何をしていくべきか考えることが重要なのだと思います。

その答えは、お客様と真摯に向き合うことでしか得られません。お客様の声に丁寧に耳を傾け、半歩先回りしてその求めに応える準備をしていくことでしか実現できません。東急ストアは、生鮮食品やデリカの販売に力を入れ、店内加工によって、切りたて、出来立ての美味しさにこだわっています。それが当社の強みにもなっています。しかし、それだけでお客様に満足いただくのは難しいでしょう。地域ごとにお客様の家族構成や嗜好などが異なるため、全店一律のサービスだけでは、こぼれ落ちるニーズというものが必ず出てきてしまうからです。そのため、当社は、地域のお客様の声に応じて商品構成を変えるなど、プラスアルファのサービスを重視する「個店経営」を志向しているのです。

前向きに、一生懸命取り組むことで見えてくる

私は入社8年目からバイヤーになり、バターやチーズ、牛乳などの乳製品を担当しました。もう30年ほど前の話になりますが、当時はPOSデータなど存在しなかったため、どのような商品が、どの程度お客様から必要とされているかの判断は、バイヤーの経験則と感覚次第でした。あるとき先輩に仕入れの根拠となるデータはどこにあるのかと聞いたら、「私の頭の中だ」という返事が返ってきたくらいです。

最初は、すごいと思いました。しかし、あまりにも属人的であり、不確実性が高くはないか、と疑問がわいてきたのです。「お客様のニーズに、より正確に答えるには数値化されたデータを根拠にすべきではないだろうか」と。

それからは、集計用紙と電卓を使って、商品ごとの販売数や価格などを記録していきました。そこに仕入れデータを足し、翌年からは前年同月比といったデータも加えながら、私なりに分析していきました。膨大な量の数字と格闘することになりましたが、難解なパズルに挑むような楽しさがありましたし、分析の結果バイイングに成功すれば、喜びも倍増しました。それに、自分の担当商品については、先輩や上司であろうと、誰にも負けないという自信もつきました。その自信が、ますます仕事を面白いものにしてくれたようにも思います。数年後、私がしてきたことがバイヤーのマニュアルになるという余録にもあずかりました。

仕事は、前向きに一生懸命取り組んだほうが面白くなります。たとえ失敗しても、そこから得るものは大きくなり、次に生かすことができます。長年、仕事をしてきた先輩として、これだけは自信を持って言えます。そして、当社を志す人には、その前向きさを「お客様のために」発揮する意識を持っていただきたいと思います。

「ありがとう」に喜びを感じられますか?

お客様のニーズが多様化、複雑化した現代、それに応えるのは容易ではありません。世の変化の半歩先を行くための情報収集力や感性が大切ですが、食品の多くを輸入に頼っている日本の場合、為替動向から世界情勢まで、アンテナをはるべき対象は世界へ広がっています。当社が国内専門の業態だからといって、足下だけを見ていては駄目です。食品は世界経済や政治状況、さらには気象変動などによって大きく影響されるのです。POSをはじめとした膨大な情報やデータをどのように分析すればいいのか、分析手法を洗練していく必要もあるでしょう。

何かを変えようと思えば、上司や会社を説得しなければならない場面にも遭遇します。私もバイヤーをしていた頃は、ある商品の売場スペースを広げるために、いくつものデータや資料を揃えて、必死に説明した思い出があります。

仕事をしていく上では、自分のやりたいという思いを人に伝える力も欠かせないのです。

ただ、こういったことは本人の心がけ次第で入社してから身につけることができます。だから、学生さんには、自分の中に「お客様を大切にする心」、「お客様のありがとうに喜びを感じる心」があるか、問いかけてほしいのです。この問いに自信を持って頷ける人を、東急ストアは待っています。

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