社長インタビュー

「東急ストアならでは」の強みをつくる

東急ストアは、首都圏西南部を走る東急線沿線を中心にスーパーマーケット、コンビニエンスストア、売店、ドラッグストアなどを展開する総合小売業であり、東急グループの一員です。その中で当社は、食を通じて地域の皆さまの生活の豊かさに貢献することを目指しています。出店数は年々増加を続けており、地域のお客さまにとって、より便利で身近な存在となるべく、東急線沿線の全ての駅への出店に向け、日々邁進しています。

しかしながら近年、当社を取り巻く環境が大きく変化していることも事実です。新型コロナウイルスによってお客さまの買物行動が変わり、スーパーマーケットの存在はより重要なものとなっています。例えば感染拡大が始まった時期には、マスクや消毒液の需要が急激に高まるといった現象が起き、スーパーマーケットは人々のライフラインを支えるために欠かすことのできないものであると、改めて実感しました。今後は「ウィズコロナ」の社会へと移行していきますが、コロナ禍前の姿に戻る事柄と、戻らずに定着する事柄があると考えています。前者であれば、デリカを中心とした簡便型商品や健康促進商品の需要拡大などが挙げられます。また後者であれば、インターネットでの購入やまとめ買い、キャッシュレス決済の普及など、新たな購買行動が定着していくものと思います。

そうした環境下で、しっかりと「東急ストアならではの強み」を構築していかなければなりません。当社は東急線沿線を中心に大きなマーケットを有しているものの、それを活かしてどのように「東急ストアで買いたい」と思っていただけるかが重要であると考えています。そのためには、お客さまが当社に求める鮮度・品質・健康価値の高い商品を、確実にお届けする必要があります。最近では、富山県の朝獲れの鮮魚を北陸新幹線で輸送し、東急ストアの店舗で販売するといった新たな取り組みにも参画しています。さらには先述したようなお客さまの変化に合わせて、ネットスーパーの拠点拡大、SNSでの情報発信の機会を増やすなど、お客さまにアプローチするための施策も積極的に行っています。独自のマーケットを活かしながら新たなチャネルをつくり、「東急ストアならではの商品」を提供していきたいと考えています。

いかにして、現場の主体性を引き出していくか

ここで少し、私自身のキャリアについてお話をいたします。ターニングポイントとなった出来事が二つあります。一つは2009年に河辺店(※)の店長を任されたときのことです。河辺店は東急線沿線ではないマーケットであったことに加え、周囲には競合店が乱立しており、着任当初は売上も芳しくありませんでした。ではどうするべきか。考え抜いた末、まずは社員やパートナー社員さんに積極的に話しかけてコミュニケーションを取り、現場の声を一つひとつ拾っていくことにしました。「お客さまの様子はどうか」「職場に対する不満はないか」など、とにかく声をかけるように心がけたのです。密にコミュニケーションが取れるようになってくると、社員とパートナー社員さんが混じり合いながら、一緒になって集客の施策を考えたりと、チームワークが日増しに良くなっていきます。東急線沿線ではないマーケットでも、地域に根ざした店舗となるべく、お客さまの声に応じて商品構成を変えるなど工夫を凝らしていき、次第に売上が伸びていきました。まさにワンチームで得ることのできた成果です。かけがえのない仲間に恵まれたおかげで社長賞をいただけたことは、私のキャリアにおける財産となりました。トップダウンで命令するのではなく、部下の話を聞き、ボトムアップ型で意見を取り入れていくコミュニケーションの姿勢は、社長を拝命した今でも強く意識しています。

もう一つのターニングポイントは、2010年頃に参加していた「社長塾」での取り組みです。これは当時の社長が職責者を対象に、マネジメントスキルを高める狙いで行っていた研修のようなもので、関西や九州などの有力スーパーを視察し、東急ストアの課題を洗い出して、それを解決する施策を提案するといった内容でした。当時の私は日々の業務に追われてしまい、中長期的に会社の未来について考えることができていませんでしたが、他社の動向や店舗について深くまで考察してみると、当社における課題も浮き彫りになります。社長塾に参加したことで、1年後、5年後、10年後など、中長期的スパンで東急ストアがどうあるべきかを、俯瞰して考えるきっかけとなりました。スーパーマーケットは日々の売上が大きく変動する仕事であるため、「今日どうするか、明日はどうしようか」と短期的に物事を捉えがちでしたが、「5年後こうなるために、今はこうするべき」といった判断ができるようになったのです。コロナ禍をはじめ、将来を予測することは非常に困難ですが、広い視野を持っていれば、柔軟に対応することが可能です。これも今の仕事に直結する目線であると思います。

  • 現在は閉店しました。

失敗を恐れず、積極的なチャレンジを

東急ストアを代表する立場となり、当社への入社を志す皆さんに、お伝えしたいことがあります。それは、どんなことにも失敗を恐れず、チャレンジしてほしいということです。

日々の生活は刻一刻と変化し、お客さまのニーズが多様化する中で、東急ストアが「選ばれ続ける店舗」であるためには、毎日の試行錯誤が欠かせません。「あれをやってみよう、これをやってみよう」と色々な挑戦をすることで、道が拓けていきます。そうした自らのチャレンジが売り場に反映され、お客さまの反応としてダイレクトに返ってくるというのが、スーパーマーケットで働く醍醐味でもあります。多くの失敗を経験すると思いますが、それを恐れる必要はありません。その中に成功の種が潜んでいますので、ぜひ、掴んでください。

私自身は、パートナー社員さん含め従業員全員が、そうした前向きな行動ができるようにサポートします。成果を上げることのできた人、店舗をきちんと評価し、より能動的に取り組める環境を整えます。個店経営に代表されるように、東急ストアには現場の一人ひとりが主体的にチャレンジできる風土がありますが、そうした文化をより浸透させていきたいと考えています。

全従業員が自ら主体的に考え、いきいきとやりがいを持って働くことができたら、ひいてはそれが、食を通じてお客さまの生活の豊かさに貢献することにつながるのではないかと思います。

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